備忘録#16 僕と七つの大罪について

宇宙は空にある。グレイです。
さて本日の話題はというと、今日で25周年を迎えた映画がについて。それはデイビッドフィンチャー監督が1995年に制作したSE7EN」(セブン)という映画です。冷酷で高度な知能を持ったシリアルキラーによる七つの大罪見立て殺人を老獪な刑事と新人刑事が追っていくというストーリーになってます。そして衝撃のラストへ…
せっかく25周年ということで、軽い気持ちで見始めたのですが、後味がめちゃくちゃ悪かったのでここで感想を述べていきたいと思います(なんで?)ひとつよろしく。ネタバレありです。

 

この世に生まれたことが消えない罪

本作では、基本的に七つの大罪になぞらえて殺人が行われていきますが、最終的に主人公たちすらその殺人に組み込まれてしまうというのが一応のオチ。でその犯人も七つ目の大罪として死ぬのですが、コイツがとにかく気持ち悪いんだな。基本的に行動原理が謎。自らは平凡で裁かれることすら厭わないが、その裁きは特別な行為だと断じている。結局裁きまくって最後に死ぬという殉教者気取りのクソ野郎であることは間違いないのですが、終始脚本に動かされていた感じがして行動原理が読めない不気味なキャラクターでした。尤も監督は多分犯人の行動原理とかよりも、人間の内なる原罪や、理不尽にも近い裁きを描きたかったと思うので、そこは気にする必要はないかな。最終的にブラピ演じるミルズ刑事の奥さんが殺されてしまうんだけど、やはりそう思わせる伏線というか、いまひとつ夫を信頼しきれていないような描写が日常生活の中の不協和音として描かれている。妊娠のこともすぐには打ち明けられなかったり、地下鉄の揺れがすごい物件についてのうっすらとした不満だったりとか…同時に思うのは、最後の裁きを下したミルズ刑事に対する法的機関からの裁きという犯人側からの意趣返しは、日常の中に潜むミルズ刑事の原罪に対しての裁きだったのかなということです。一見理不尽に思えるけど、アイロニカルというかアレゴリー的な裁きとでもいうのか…ミルズ刑事の水面下での不満(もしくは原罪)が積み重なって爆発した結果この結末を引き起こしたのかなと。別にミルズ刑事が悪いんじゃないんだけど、脚本上での因果応報というか。その辺は日本的に読み解けるかもしれないですね。まあ僕が日本人だからかもしれませんが。
非常に後味の悪い作品ではありましたが、同時によくできている作品だと思います。同監督のファイト・クラブを見ていたので、ブラピがキーマンになりそうだな~とか思いつつも、終始ビクビクしながら見てました。アリ・アスター監督の「へレディタリー」も怖かったけど、個人的にはこっちの方が怖かったですね。別に誰も悪くはないけど無意識のうちに犯している罪によって裁かれてしまうという…「へレディタリー」は理解不能ゆえの怖さでしたが、こっちは理解できるが故の怖さという感じでした。作品としては「ファイト・クラブ」の方が好きかな。
 
さて今回はこの辺で。しばらくはこんな感じで感想回が続くかなと思います。
 
次回へ続く…